青春パンクの処方箋①

「青春パンク」というジャンルがある。

この「青春パンク」という言葉

今では聞きなじんで、そんなにおかしな言葉には聞こえないと思うのですが

元々のパンクロックの定義から考えると、実はおかしな言葉だと思う。



そもそもの「パンク」っていうのは、日常への反逆というか

暴力的なことだったり、政治思想だったり
逆に文学的すぎてワケのわからないことだったり(笑)

を歌ってたようなジャンルだと思うんですね。
(↑80年代ぐらいアングラより日本のパンクのイメージです。メロコアとかそっちのパンクじゃないです。偏っててすんません)

「パンク」というのは、一般的な意味での「青春」とは、一番 遠い場所にある物だったと思うんですね。



「青春」に関しては、説明しなくてもわかると思うので省きますが

そんな「青春」+「パンク」という、ある意味で真逆

相容れないはずの二つのワードがくっついた…という。

実はけっこうミクスチャーなジャンルだったはずなんですよね。最初は。

青春パンク?

シンプルなパンクバンドサウンドに乗せて

青臭い青春の歌を歌っちゃう!?

え?それ、アリなの!?

…みたいな。

当時の若い子には、そこまで違和感はなかったと思うのですが

少なくても当時のロック好きの頭の固い人には、

「スイカに塩かけちゃうの?」的なミスマッチ感というか

そこそこ衝撃的なものだったと思うのです。たぶん。



衝撃的というかね、「ないわぁー…」みたいに思ってた人も多かったと思うんですね。

かく言う僕も、この「青春パンク」と呼ばれるジャンルが流行りだした時期、

すでにバンドをやっていたので、「青春パンクバンド」と共演することは回数にするとそこまではなかったのですが、

「え?こんなジャンル流行ってるの?ないわぁ…」

とか思ってました(笑)。ごめんなさい。





振り返ると

あたらしい価値観に僕がついていけてなかっただけなので

今思うと僕が完全に悪い。反省。



誤解のないように書いておきますが、青春パンクがダメという話ではないですよ。



オリジネーターというか、この頃からやってて今も生き残ってるバンドさんって、やっぱりかっこいいですしね。

ただ、どのジャンルもそうだと思うのですが、カッコいいバンドがいれば、カッコ悪いバンドも当然いるわけで

その当時に僕がそのカッコ悪い方のバンドを見たり聞いたりして(笑)

「ないわぁ…」と思ってた理由を書いておきたくて、実は今日のblogの筆をとったのも少しある。

なので、ここから本題である。(ここまでは長い前ふりでした)



この時期の「青春パンクバンド」さんのルーツって何かな?と考えたら

やっぱりどう聞いても「THE BLUE HEARTS」だったと思うんですよね。

(当時はもうすでに解散していて、ヒロトとマーシー(敬称略)は↑THE HIGH-LOWS↓で活動していた時期なのですが)

THE BLUE HEARTSが、すごくかっこいい!!

という話はまた別の機会に譲るとして。



THE BLUE HEARTSが「青春パンク」だったとは思いませんが

シンプルなパンク、ロックンロールサウンドにのせて

(狙ってなのか、偶然なのかはわかりませんが)

当時の若者の気持ちを代弁したような歌を歌った。

という意味では、やっぱり青春パンク的なミクスチャー感のハシリではあったと思うんです。

おお?パンクバンドがそういう歌詞を書いちゃうんだ!?と

当時の同業者のバンドマンや音楽業界の人からしても、それなりに衝撃だったと思うんです。



「パンクバンドなのに、一人称が “僕”でそういう歌詞を歌うんや!?」

みたいな。



いま聞き返しても、読み返しても、シンプルな言葉ながら

核心をつきつつ、ちょっとしたブラックユーモアや文学性もあって

日本のロックの歴史を年表にまとめたら、THE BLUE HEARTSの革新性っていうのは、

教科書に載るレベルですごかったと思うんですね。



僕的には、THE BLUE HEARTSの曲がTVで流れてたような時期って

子どもの頃の話なので、そこまで思って当時は聞いてませんでしたが。



そんなこんなで

特に初期に関して言えば、

反論を承知でめちゃくちゃ要約すると

パンクバンドらしからぬ言葉で「君らしくいようぜ」と歌ったパンクバンド

だと思うんです。

(これを嘘くさくなく寒くならずに歌えてたのがすごいなぁ…と個人的には思ってます)



そんなTHE BLUE HEARTSに憧れて、楽器をはじめたり、歌を作ってバンドをはじめた人もきっと多かったと思うんですよね。

「青春パンク」と呼ばれていたバンドも、もしかしたらはじまりはそんな感じだったのかな?と想像します。

ただ、そういうバンドが実際に歌を作った時に。

ここからが問題。

限りなく THE BLUE HEARTS みたいな曲が生まれる。

「君らしくいようぜ」という曲に感銘をうけて、君みたいな曲を歌う。

うん??

君らしい=自分らしい

とは???



これって、実はいちばん本質から遠くなってないか!?って思っちゃうんですよね。

自分がひねくれてるだけかもしれませんが。



THE BLUE HEARTSみたいな曲を作って歌えば歌うほど、THE BLUE HEARTSの本質から遠くなる…みたいなパラドックス。



バンドなんて「好きなことやろうぜ!」「別に誰かに似てたっていいやん!?」…で、いいと思うんです。

でも、なぜかこの青春パンク勢のブルーハーツ化現象だけには

当時からすごくひっかかってたんですよね。



例えば、当時で言うと

Dragon Ashがミクスチャーバンドになっていって、ラップとかやりだして…みたいな方が、パッと聞きのジャンルとしては全然違うんだけど、本質としてはきっとTHE BLUE HEARTSに近いよな?

などと思っていました。



いや、当のTHE BLUE HEARTSにこんな話ししたら

「好きにやればいいんじゃないの?」

って笑われそうですが(笑)。



そもそもそロックバンドなんて、猿真似、物まね、おおいにけっこう!とは思っているのです。

ただ、表面をトレースして出来上がってしまうものへの違和感

この部分に勝手にずっとひっかかってたんだろうなぁ。



でも、そもそもやってる本人(THE BLUE HEARTS)にしか、どういう気持ちでやってるのかはわからないので

僕が何を考えようと、どう分析しようと、ただの深読みにしかならないのですが。



それでも

別に間違っててもいいとは思うんですが、

自分なりにもっと考えたり、

曲の真意をくみ取ろうとしたり

…ぐらいのことは、やっぱりミュージシャンならしていかないとダメなんじゃないのかな?などと今でも思う。

少なくてもTHE BLUE HEARTSが好き、THE BLUE HEARTSに感動したような人間ならば。



結果、出来上がったものが歪でオリジナルからかけ離れてても、

表面をトレースだけして出来上がったものよりも、それはきっと素晴らしいはず。





…と、この辺りで長くなったので次回に続けます。

次回は

「すべての若者に歌うロックバンドはTHE BLUE HEARTSであるべきだ(仮)」

↑極論です(笑)

極論の方が面白いんです。

けっきょく記事全部が前ふりになってしまった。

次回が本編!!

つづく

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