その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ

その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ

これ漫画のセリフなですが、案外、的を射ているなぁ…などと思うわけです。

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(漫画 ハンター×ハンターより)

前回の記事でロックンロールという曲の説明でライブハウスの話を書いたので

ロックンロール その③
こんなライブハウスならいらない。僕が好きだったのはこれじゃない。 「じゃ、おまえの好きなライブハウスってどんなの?」ってお話を最後に。 ...

最近あったライブハウスでの話も絡めて、今日は書いてみようかと思います。
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 2016年6月は南堀江knaveの14周年月間でした。

僕が働かせていただいてる南堀江knaveというライブハウスが、先月で14周年を迎えました。

おめでとうございます。

ありがとうございます。

というわけで、5月の後半数日と6月の丸々一ヶ月の期間に開催されたイベントを”周年イベント”と銘打ち、普段よりも少しだけお祭り騒ぎな一ヶ月(と少し)でした。

出演していただいたミュージシャンのみなさま、本当にありがとうございました。




こちらは出演してもらたアーティストさんたちのサイン入りの14周年フラッグ

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このフラッグとサインをめぐって、本当にちょっとしたイザコザのようなものがありました。

そのイザコザきっかけで色々と考えることもあって、客観的に見ると、その事件も面白かったなぁ…と思い、その話をちょっとだけ書いてみようかと思います。

題して

14周年フラッグ落書き事件

簡単に粗筋を書きます。

某日。

イベント終了後に「14周年のフラッグにサインしてー!」と、某バンドのメンバーにマジックペンを渡したところ、そのマジックペンを受け取ったバンドのメンバーが、

フラッグに小学生の下ネタみたいな落書きをしたんですね。

バンド名やサインも書かずに。

この時、露骨に僕の機嫌が悪くなりました(笑)

…これだけ書くと、そのバンドのメンバーが悪く見えるかもなのですが、それも違ってですね。



僕がそもそもイベント終了後にすぐにサインをしてもらえば良かったのに、すっかり忘れてたんです。

打ち上げも半ばのみんな良い感じに酔っ払った頃に思い出したように「あ、忘れてた!ごめん!サインして!!」ってマジックを渡したんです。

そりゃ、酒の席で馬鹿話してる最中にマジック渡したら

ノリの良い関西人ならその場の笑いに走るのは正常。

そうなるわな。

あとあと考えたら、これ完全に僕が悪かったなぁ…と(笑)。

そもそも、そういう事をされて機嫌が悪くなるぐらい「大事なこと」なら、打ち上げのタイミングまで忘れるなよ!…って話ですし。

さすがにそのバンドさんは場の空気を察して、すぐに謝りには来てくれました。

ただ、謝られて勢いでその場で僕も文句を言っちゃうと、お酒の入ってる席だし(僕はシラフでしたが)後味悪くなりそうだな…と思って、「今度、シラフの時に話そう!」って言って終わらせちゃったんですね。

けっきょくお互い忙しくて、わざわざその時間も取れてないまま、7月ももうすぐ半ばなのですが。

これに関連した話はできずじまい。

で、冒頭の

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に戻ります。

なんでこの時に、その場で何も言わずに「また今度、話そう」と話を終わりにしたのか?というと、単純に

僕がけっこう本気で怒ってたから。

その場で感情にまかせて、相手をボロカスに言うことも出来たのですが、それだと僕も頭に血が上っている状態だし

僕がそもそも何に対して怒ってるのか?というのが相手にきちんと伝わらない

な、と思ったからです。

それが伝わらないと、僕がただ怒ってるだけの人になっちゃので、それは避けたいなぁ…と。

 では何に怒っていたのか?

普通に考えると

ライブハウスの14周年のフラッグに落書きをした



みんながきちんと書いてるとこにそんな落書きをして!真面目にやれ!ふざけるな!!

的に怒ってる風にとらえられるかな?と思いまして。

僕が怒ってたポイントって、実はそこじゃないんです。

14周年の重み、ライブハウスを汚すな!…的な気持ちも、もちろんない事もないです。

ただ、僕自身14周年のライブハウスの歴史のなかで、まだ3~4年しか関わらせてもらってないライブハウスです。

そのライブハウスの尊厳というか…14周年のすべてを背負って怒ってたわけではないんです。

僕が大事にしているとこ

もちろん昔からの付き合いの延長に、今のよく出演してくれたり仲良くしてくれてるバンドさんとの人間関係もあるわけですが、やっぱりknaveに来たこの数年で出来上がった人間関係というのが今はあります。

お店のスタッフだったり、お客さんだったり、そして一番は出演してくれてるバンドさんだったり。

すべては人なんです。

ことあるごとに言ってますが、僕の考えっていうのは人=場所なんです。

逆もしかり、場所=人 でもあるし。

人が一番大事。

たかだかライブハウスの周年イベントです。

でも、そんな周年イベントに本当に喜んで出演してくれたバンドさんがたくさんいます。

「僕らも出たかったです!」って言ってくれてたのに、出演できなかった、こちらから上手く出演オファーを出来なかったバンドさんもたくさんいます。

この14周年のフラッグというのは、たぶん一般の音楽ファンの人からしたら、「誰?」って人のサインがたくさん入ったフラッグです。

実際、まだまだ動員も知名度もないバンドが「僕らがサインしても良いんですか?」って言いながら、嬉しそうにサインをしてくれたのを何回も見ました。

もちろんじゃないすか。僕は有名な人のサインよりも、そんなあなた達のサインが嬉しかったんです。と。

誰かと誰かの価値感の違い。

周年月間だという事をあまりわかってなくて、たまたま出演したイベントが、ライブハウスの周年イベントだった…という出演者さんもたくさんいたかと思います。

そんな人にとっては別にどうってことないことだったかもしれません。

ただ僕にとっては、あのフラッグにサインをしてもらうっていう事は「まだ人気もなくて誰にも見向きされてないけど、少なくてもきちんと僕は君達を認めてるよ」っていう証みたいな意味もあったんです。

お客さんとしてイベントに来てくれてて、他のバンドがフラッグにサインしてる様子を羨ましそうに見ているバンドの子も何人か見ました。

ごめんよ、うまくイベントが組めなくて周年のイベントに誘ってあげれてなくて…なんて思いながらそれを眺めておりました。

たかだか、一地方のライブハウスの周年ごと、祭りごとだったかもしれませんが、あそこには色んな人の一生懸命や、嬉しいや、悔しいがあったような気がするんです。

そこに「ちん○ん」とか、いきなり書かれたらそりゃ怒るでしょ。

…と、僕のあの時の思考回路的には、こういう流れです。

要約すると

他のバンドを馬鹿にするんじゃねーよ。

って感じで怒ってたわけです。

ただ、これはあの一瞬(しかも酒の席)では、相手に伝わらないよな…というのもわかってたもんでね。

細かく説明もせずに「今度、話そう」って終わりにしちゃったんです。

なんで僕が怒ってるのかを誤解させずに今きちんと説明する自信ねーな…と。

僕は、口ゲンカとか言い争いの8割は誤解からだと思ってます。

「僕はこう思ってる」が相手にきちんと伝わってないだけなのかな?と。

相手さんからしても「まさか、そこまであのサインに色々と思ってたなんて」…って感じだと思います。

で、「そんな馬鹿にしてるつもりなんかありませんよ!」って感じだと思いますし。

だから、酒が入る前にきちんと説明してからサインしてもらったらよかったんですけどね。

そこは完全に僕のうっかり。

お酒の席で、場の空気を一瞬ですが重くしてすいませんでした。

ただ、怒ったその日の帰り道の車で、自分の怒るポイントってたぶん他人からはきっとわかりにくいんだろうな…とも思ったりはしてました。

で、このセリフを思い出したわけです。

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本当に何回も書きますが「きちんとしようよ!」と学級委員長的に、お固い事を言って怒ってたわけじゃないんです。

きっと悪気なく踏み込んだとこが、唯一の僕の怒りポイントだったというか…。

そう。まったく悪気がないのもわかってたし。

最初に書いたとおり、お酒の席でマジックペンを渡したのがそもそもの間違いだし。

そもそもこのblogの記事もそのバンドさんをつるし上げたくて書いてるわけじゃないんです。

そのバンドのことも、僕、本当に大好きなんです。

(たぶん、たいして好きでもないバンドだったら、その場で泣かすぐらいにボロカス言ってたと思いますが 笑)

なんとなぁ~くでいいので、このニュアンスがわかってもらえたら嬉しいなぁとか思いました。

でもこのフラッグ見ても、そんな落書き一切ないでしょ?

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そのバンドの別のメンバーが「メンバーの後始末は自分がつける!」と帰り際に良い感じに処理してくれました。

それを見て、嗚呼…良いバンドだなぁ…とも改めて思いました(笑)。

こんな記事を書いといてあれだけど、「誰がそういう事を書いたの?」とか野暮なことは聞きっこなしね。

まぁ、そんなドタバタも含めて、本当に良い14周年月間でした。

twitterの方にも軽く書いたんですが、今年の周年は、仲良くしてもらってる若手バンドのワンマン公演が数本見れたのが特に感慨深かったです。

その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ

確かにこれがわかれば、すごくその人の事は理解できるのかもな?と思いました。

こんな感じの他のエピソードもたくさんあるのですが、長くなってきたのでそれはまた別の機会に。

ではでは。

ただ、今日書いたような話の逆パターンも気づいてないだけで、きっといっぱいあるんでしょうけどね。

気づかずに、僕が失礼な一言を言ってしまうようなシチュエーション。

怒らせるような言ってはいけない一言

その人が大切にしてるような事を、踏みにじってしまうような酷い一言。

ライブハウスという仕事柄、たくさんの人、たくさんのミュージシャンと会うわけで、きっと気づかずに失礼なこといっぱいしちゃってるんだろうな…と思う日々です。

…ごくまれに、わかってて、わざと酷い事を言う時も実はあるんですけどね。

そこはちょっとした駆け引きと、コイツなら言った意味をきちんとわかってくれるかな?という思いもあったりで。

全員と仲良くやる…のは難しいし、きっと無理なんでしょうけど、それでも出来る事なら、みんなと分かり合いたいんですけどね。

誰かが、そして僕らが、大切にしてるものはなるべく分かち合って尊重しあいたいなぁ…と思う、今日この頃でした。

綺麗ごとでけっこう。

綺麗ごとぐらい、たまには言えないこんな世の中じゃポイズン。

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