over と 卒業写真 の話

もう高校生の頃から言ってる話で、

過去に何度もblogに書いてたような話なのですが。

「いつか街で偶然 出会っても今以上に綺麗になってないで」

このフレーズがとにかく好きである。

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over と 卒業写真

これは、Mr.Children の overという曲からの一節。



いわゆる失恋ソングの歌詞。

情けない。

とにかく情けない。

もしかして日本で一番、男の子的情けなさが凝縮されている歌詞かもしれない。



男なんて基本的にバカな生き物なのである。

たとえ、2人の関係性が変わってしまったとしても

君にはね、いつまでも僕のことを好きだった頃の君でいて欲しい。

そんな都合よくも、情けない事を思ってしまう生き物なのです。

ああ、情けない。

でも僕も男なので、これはすげーわかる。

現状維持で変わることのできない自分がいて。

相手に対して、だから「今以上にキレイになってないで」と変わらないでいることを求める

そんな男心。

もう、自分勝手をとおりこしている気がする。

情けなさの極みである。

とんでもなく後ろ向きである。



さて。

自分的に このフレーズと対になる一節がある。

「人ごみに流されて変わって行く私をあなたは時々遠くで叱って」

これは荒井由実の卒業写真からの一節



この曲は、なんとなくみなさん知っている曲かな?と思うので、知ってる前提で書きすすめますが

「変わらないで」と相手に歌っているのは over と同じなんですけど、このフレーズに情けなさは微塵もない。

そもそも卒業「写真」のあの人に対して言っているわけで

写真のあの人が変わっていくはずもない。

相手を「過去」としてとらえていることは、over も 卒業写真もおなじ。

でも、そもそも卒業写真の主人公は「自分が変わっていく」ことに対して肯定的で、それを受け入れている。

あの人(過去)に「ときどき、叱って」と言っているぐらいだから、多少の後ろめたさは感じているとは思うけど。

overの主人公は、どちらかという現状に酔っていて、あえて「変わらない」ことを選んでるようにも僕には読める。



「変わっていく」ということは、大げさに書けば「それでも生きていく強さ」だと思う。



卒業写真は

わたしは強く変わっていく。

でも、写真のあの人は変わらないで。

そんな風に歌っている。

これって解釈のしようによっては

「わたしは強く変わっていく。でも、あなたはあの頃のままで、そこで指をくわえてわたしを見ていなさい。そして、わたしが少しだけくじけそうな時にだけ叱ってほしい」

みたいな。

なんと残酷な。

そして、とんでもなく前向きで美しい。



相手に対して、おなじように「変わらないで」と歌っているのに、これほどまでに対極なのも珍しいな。

と、ことあるごとに思い出す2曲です。

よく言う、男脳、女脳 的な違いとも思えるんですが、

前向きに進んでいける人と、後ろ向きに停滞してしまう人の差とも思える。

どっちにしろ、

1行の歌詞で、

ここまで情けない男心を表現できる桜井さんもすげーなと思うし、

ここまで残酷で美しいフレーズを1行に凝縮できるユーミンもすごいと思うし、

どっちも、すごいなー…ってだけの話でした。

こんな歌詞は逆立ちしても書けない。

やっぱり売れてる人はすごい。

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