前回からの続き
というわけで「僕には才能はない」なんて自覚をしながらも、バンドを続けてきました。
それでも、楽しかったんですよ。
特にここ10年ぐらいは、ライブハウスで自分が働き出した事もあって、若いバンドや、人気のあるバンドさんと絡ませてもらえる事も増えてきました。
The denkibran自体は大して人気のない社会人バンドのに(笑)そういうバンド達と交流しながら続けられた…っていうのは幸運だったのかもしれません。
誰に向かって演奏してるのか?問題
ただ、色々と見失ってた時期も正直ありました。お客さんから評価されてなくても、せめて共演者や若いバンド…要は後輩のバンド達にかっこ悪いとこは見せられない。
バンドマンからは評価されるバンドではあり続けたい。
後輩のバンドぐらいにはかっこつけさせてくれよ。
そんな風に思ってバンドをしていた時期もありました。
それこそ、KANA-BOONやkidori kidoriなんかと共演する機会があった時に、「倉坂さん、昔はかっこよかったのになぁ~…」なんて思われてしまうと、それは死活問題というか(笑)。
そんなの悔しすぎるじゃないですか?
一時期は、そんなモチベーションだけでライブをしていたかもしれません。
そういう気持ちが、良い方向でバンド活動に作用していた時期もあったのです。
ただ、今思い返すといつ頃かの数年というのは、そういう気持ちが空回りしてた時期もありました。
目の前のお客さんに向けてライブをするんじゃなくて、後輩のバンドマンに背中を見せるためにライブをしていた…みたいな。
そんな風にお客さんに向けてじゃなく、「バンドマンに向けてだけライブをしてた時期」というのが確実にあった気がします。
これは、すごく健全じゃないかった。
だって目の前で見てくれてるお客さんが二番目になっちゃってたんだから。
いつ頃かtwitterなんかで変に出来上がってしまった「倉坂さん」という架空のキャラを、自分で意識して演じてしまっていたのかな?などとも思います。
【倉坂さん】
ライブハウスで働いていて若手のバンド思いで、自身もバンドをがんばっている熱いやつ。
そんなヤツ、いねーよ(笑)
残念。
みるきーうぇいの香織ちゃんが「SNSに殺されそう」と歌ってましたが、今思い返すと僕がSNSに殺されていた時期でした。
そんな時期も過ぎてようやく我に返りつつ(笑)、最近は本当に良いテンションでバンドは出来ていた気はします。
ライブにしても、こう…何というのでしょうか。
テンションや暑苦しさで押しきるライブじゃなくて、演奏をしっかりするライブというか。
無駄に説教くさいライブをしてた時期というのはもう過ぎたし、自分自身もそういう芸風のバンドに興味はなくなってきたり…と。
なるべくMCじゃなくて、音楽自体で語りたいもんだなぁ…ってのが最近のテーマだったかもしれません。
まぁ、しゃべらないつもりでステージに出ても、相変わらず、つまんないMCはしちゃうんですけどね(笑)。そこは関西人なんで許して。
そんなこんなで最近の安定期
関西を根城にバンドをしている身としては、比較的、良い環境でバンド活動をさせてもらってたと思います。たまにですが、ミナミホイールや見放題みたいなサーキットイベントにも出演させてもらって、それなりの人数のお客さんに見に来ていただけたり。
【↑いつぞやのミナミホイールの時の映像】
自身でも、ナードマグネットとcraft rhythm templeとMISOJI CALLINGなんてサーキットイベントを開催させてもらったり。
【↑去年のMISOJi CALLINGの映像】
なんやかんや言ってて、半年に一回ぐらいはきちんとヒーローになれる環境があったというか。
最近では、毎回ライブに来てくれるようなありがたいお客さんもいてたり。
社会人バンドとしては本当に恵まれた環境だったのかな…なんて。
やっぱりバンドが止まるかも?っていうのはショックでした
そんな恵まれた環境の中でマイペースに The denkibranをやっていたわけですが、今回の活動休止?解散?話が出た時、それなりにショックでした。「当たり前にもうちょっと続くと思っていたものが急に無くなる」となったわけで、それなりに内心は取り乱しました(笑)。
スタジオ練習に10分ほど遅れて行ったら、「4月ぐらいまでかなぁ~」なんて話をすでにスタジオの待合室でしていたので
「え””??」となりました。
これは完全に自分の性格の話なんですが、「有終の美」とか「終わりよければすべて良し」とかに全然興味ないんですよね。
続いていかないものに価値を見出せないというか。
それでも続いてくのなら、それがゴミみたいなもんでも無理やり価値を見出せるんですけど。
なので、「終わっちゃうかもしれないバンドの練習しても仕方なくね?」と、あんまりその日の練習に身が入らなかったのは覚えます。
もういいかな?とも思った
ただ、じゃThe denkibaranの今後をどうしよっかな?と冷静に何日か考えた時に、正直なところ、自分の年齢的な部分も含めて「やれる事やっちゃったかなぁ~」なんて思ったのも正直なとこです。悔いもそれなりにあるけど、まぁ、幸せなバンドだったんじゃないかな?なんて、結論が出かけてたのも事実です。
若い頃に夢見た形とは全然違うけど、30歳過ぎて、こんなに楽しくバンドできてるとは思ってなかったもん。
終わらせないまでも、ここで一区切りつけてもいいんじゃないのかな?などとも思ってました。
別のバンドやってみても面白いかな?とか、色々考えましたよ。
で、もしかしたら、なんとなぁ~くバンド活動自体がフェイドアウトしていく可能性もふまえながら、迎えたのが去年の年末でした。
しかし、去年の年末のある出来事をきっかけに心境の変化がおきます。
その出来事というのは新宿ロフトでのライブ
2016年末に久しぶりに東京にライブをしに行かせてもらいました。それが、まさかの新宿ロフトの忘年会的なライブっていう(笑)
昨日の新宿LOFTライブありがとうございました。写真とって!ってライブ中に言ったのに誰も撮ってくれなかったので動画をちょっとだけ。 pic.twitter.com/lAE2cp7IKj
— The denkibran_info (@The_denkibran) 2016年12月29日
共演バンドも若手の人気バンドばかりで、なんだか申し訳ないなぁ~なんて思いながらも、楽しく参加させてもらいました。
ストレートに書こう。
僕はこの日、超悔しかった。
ただただ悔しかった。わかりやすく悔しかった。
この日のイベントは、メインステージとサブステージの二つを使って行われていたイベントでした。
The denkibranはサブステージに出演させてもらってました。
お客さんの数は…たぶん200人ぐらいはいてたように思います。
総勢で約200人ぐらいいるなかで、サブステージでThe denkibranのライブがはじまった時、客席にいてたのがたぶん30人ぐらいのお客さん
ありがたい事に、The denkibranを見にきてくれたお客さんや関係者、そして一緒に出てたARKSのファンの人たちや、共演のバンドマンなんかが見てくれてたのかな。
見てもらえた人達には本当に感謝です。
東京のこのイベントが決まった時、集客的にもそれぐらいの人数かな?と予想はしてたんです。
普通に考えて、東京で今のThe denkibranがライブして30人~のお客さんにしっかり見てもらえる…ってこと自体、恵まれてると思うんです。
でも
ここまで届いてないか
と。または
聴いてすらもらえないのか
と。扉一枚はさんで、隣に150人~ぐらいのお客さんがいるのに。
これが大阪で開催された似た感じのイベントで同じ客数なら、状況にもよるかとは思うんですけど、ぶっちゃけ100人ぐらいは見に来てくれた気がするんです。
わかってはいたけど
久しぶりのアウェイで、まったく届いてない状態で、久しぶりに惨敗して、悔しい思いもして。
ここで気づいたんです。
「やりきったかなぁ~」なんて思ってたのは、やりきったわけではなくて、
所詮、一地方都市である大阪で、ただ年齢を重ねてるという理由と、仕事がら多少、顔が広い…というだけの理由で出来上がった環境の中で、ぬくぬくと甘やかされて
調子に乗ってただけ
なんだなぁ…と。もちろん調子に乗ってるつもりなんて更々なかったし、自分的には謙虚さが売りのつもりではあったのですが(笑)。
調子にのって鼻を折られて、悔しい思いをしたら、やっぱり、これ、もうちょうっと続けてたい!!とか思っちゃったわけです。
いやぁ、ここで引退を選択しないのが、我ながら大人気ない(笑)。
先にも書きましたが、最近の「落ち着いたモードでのライブ」の問題点についても考えたり。
曲の事はさておき、自分的に満足しかけてた今のライブのやり方だと、根本的に「届かない」っていう悔しさだったり。
悔しいのを悔しいままに放っておくのは精神衛生上よろしくない。
評価されたい!とは別のベクトルで…なんだか言葉にうまくできないのですが、とにかく
悔しい
この一言が一番、言いえてる気がする。今、ドラムを叩いてくれてるタケシも忙しくなっていくとは思うんで、4月8日のMISOJI CALLING以降はどうなっていくのか本当にわからないのですが、
それでも
どんな形になっても
続けたいなぁ
と思ってしまったわけです。続ける事に意味なんてない
なんて書いてしまったけど、それでも、続ける事に意味を見出せるように、ライフワークとしてはもちろんですが、やるからにはまだまだたくさんの人に届けたい。
そんな気持ちが今さら再燃してしまったわけです。
今まで以上にいつまで続けられるかわからないバンドではありますが。
ここ何年か、悔しい!とか見返しやる!っていう気持ちじゃなくて、もっと前向きな気持ちでバンドをしなさい。と若手に仏のような心で説いてきた倉坂ではありますが、久しぶりに「悔しい!」「ちくしょー!」を原動力にバンドをやってみようかと思います。
だって、ロックバンドだもの。
なので、良ければライブにも今まで以上に足をお運びください。
予定調和以上に満足させたい気持ちです。
だって、悔しいから。
次回は、やっと本編「The denkibranより大事なお知らせ」
つづく