あなたの”無料配布CD”をゴミの山からキラリと輝かせるためのイカした3つのやり方。

ありがたい事に、ミナホ最終日予定だった13日にした「無料配布CDのツイート」の反響がすごく良かったので、以前にも一度「無料CDのうんぬんかんぬん」に関しては書いた事はあるのですが、もう記事も消えちゃってるし、僕が考える「アマチュア/インディーズバンドの無料配布CD」について、また少し書いてみようかと思います。

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題して「あなたの”無料配布CD”をゴミの山からキラリと輝かせるためのイカした3つのやり方。」

ちなみに、完全に初~中級ぐらいのバンドマン向けの記事です。

【はじめに】

まず基本的に、この記事を書いてる僕は、無料配布/配信という物に関しては「否定派」です。

自分のバンド(The denkibran)で散々無料配布したり、無料配布のオムニバスCDを作ってバカみたいに配ってる人が何を言ってるの?と思われるかもですが。

だって一生懸命作った物を、無料で配っちゃったら、もったいないやん?

やめとけ。やめとけ。

お金がもったいないぞ。

バンドマンは基本、貧乏なんだ。

いや。

それでもね。

「無料で配らざるを得ないアマチュア/インディーズバンドの活動」の話と、じゃ「どうせ、配るのならきちんと配ろうよ?」というお話を、主にバンドマンに向けて僕なりにまとめてみます。

所詮、地方のライブハウスの人/知名度のない地方のおっさんバンドマンというポジションからの「個人の意見」なので偏ってます。

それでも興味のある方は、引き続きお読みください。

【目的の確認】

まずは目的を確認しましょう。

そもそも、あなたはなんで無料CDを配るのでしょうか?

みんなが配ってるから?

大雑把に書いてしまうと、ほとんどの人が「バンドのお客さん(ファン)を増やしたいから」だとは思いますが、そういう漠然とした感じで考えなしに配りだすと、ほぼ無駄に終わります。

「ほぼ」と書いたのは、それでも、たまーーーーーーに、そんなCDが関係者の耳に止まって…みたいな事があったりするのですが、それって宝くじを買って1等が当たるような確立。

そんな博打を打ち続けるには、お金ももったいないので、「ファンを増やしたい」という漠然とした目的を、さらに細かく分類してみましょう。

僕がパッと思いつくところでは
  • とにかく、バンドを知ってもらいたい(バンド名を覚えて欲しい)
  • 曲を知ってもらいたい(推し曲、キラーチューンが出来たのでとにかく聴いて欲しい)
  • ライブ(主催イベント/ワンマンなど)に来て欲しい
  • CDを売りたい(後にアルバムなどのリリース予定がある)
だいたい、こんなものでしょうか?

そりゃ、全部を手に入れれたら素敵ですが、まずはこの辺りから、目的を一つに絞ってみましょう。

「二兎を追う者は一兎も得ず」っていうヤツです。

「何のために無料音源をお客さんに配るのか?」ここのイメージを作ってから、配り始めると良い結果が生まれやすいです。

目的を一つに絞る事で、無料配布CDの攻撃力を上げるイメージです。

まずは目的をきっちり確認してから配りましょう。

【聴いてもらえる無料CDの条件】

だいたいの人間は、自分ががんばった事に対しての結果というのを、甘く算段してしまう傾向があるようです。

どういう事かというと、この無料CDの話で具体的に書くと

「こんなにがんばって作ったかっこいい曲だから」

「こんなにがんばってたくさんの枚数のCDを作ったのだから」

「こんなにがんばって自分の足を使って配り歩いているのだから」

お客さんは

「きっと聴いてくれて、気にいってくれるはず!!」

という心理。

…残念。

ごめん。

がんばったからって、お客さんは無料配布CDを聴いてはくれません。

本当にやるせないのですが、基本的に配ったCDは聴いてもらえないと思っておきましょう。

下手したら、聴かれずに一緒にもらったフライヤーとゴミ箱行きと思ってるぐらいの方が良いと思います。

余談なのですが、twitterでこういうツイートをしてすごくRTしてもらったのですが

image1

正直なところ、これはあくまで、親馬鹿的な目線での発言です。

僕は仕事柄、若いバンドを近くで見てる人間なので、冷静には頭ではわかっていても、やっぱり若い子が体当たりでがんばってる努力が報われないのはあまりにも悲しい。

特にミナミホイール3日目の出演者に関しては、悔しいだろうな…と。

頭では「がんばっている」というのが「CDを聴く理由」にならないのは百も承知しております。

でも、あのツイート、閲覧で10万インプレッションぐらいあったんです。

やっぱりミナミホイールは暖かいお客さんに支えられてるイベントなんだなぁ…と再確認。

ただ、ミナミホイールの場合は、無料CDを楽しみに集めているような方も多いので、「無料CD配布」という意味では、ちょっと特殊なケースではあると思うのですがね。

で、ちょっと話を戻します。

とりあえず「配ったんだから、そのCDをお客さんは必ず聴いてくれるはず」という思い込みは危険です。

先の宝くじの例で例えたら、それは「宝くじを買ったんだから、きっと1等が当たるはず!」と同じです。

まず当たりません。

残念。

【聴いてもらえたら、わかる!!】

これは、たぶんCDを無料配布しているバンドさんのほとんどが思っている事だと思います。

「俺達のバンドは曲は良いんだ!だからお客さんに聴いてもらえさえすれば、カッコ良さをわかってもらえるはず!」

でも先に書いたとおり。

聴いてもらえないんです。

なぜ、聴いてもらえないのか?

例えば15年前ぐらいのCD-R自体がまだ珍しかった頃なら、「無料配布でCD-Rを配る」ってだけで目立てました。

その頃なら、何も考えずにCD-Rを配るだけで、ほぼ聴いてもらえたと思うんです。

そんな時代もあったね。と、いつか笑って話せるさ。

今時、CD-Rを無料配布したところで目立てるか?

みんな配ってますよね。

ちょっと頭の良いお客さんなら原価だって計算しちゃいます。

「1枚、20~30円ぐらうかな?」とか。

だから、お客さんも躊躇なく捨てちゃえるんですよね。

本当に残念だし、こういう事を文字にしたくはないのですが、

どこの馬の骨ともわからない、無名な僕らみたいなバンドのCD-Rなんて、お客さんからしたらゴミと一緒なんです。

お客さんからしたら、本当に興味のないバンドの無料配布のCD-Rなんて、ライブハウスの出入り口でゴミを配られてるのと一緒なんです。

とりあえず、がんばって作ったCDですが、その「がんばった」を一旦、置いておいて、お客さんの立場になって考えてみましょう。

ゴミ…いりますか?

そのゴミを家まで持って帰りますか?

仮に 間違って家に持って帰った、そのゴミをいつまでも保管していますか?

捨てますよね。

残念ですが。

誰かが、がんばって一生懸命作った物をゴミと呼ぶのは、自分でもどうかとは思うのですが、興味のない人からしたらゴミと一緒なんです。

では、「あなたの”無料配布CD”をゴミの山からキラリと輝かせるためのイカした3つのやり方」って、なんなんでしょうか?

まあ、基本的な事しか書けないのですが。

【イカしたやり方 その1 パッケージ/見た目をしっかり作る】

布、紙の安っぽいケースに、盤面も白のままのCD-Rをただ入れて無料配布…。

論外です。

ゴミと思われても仕方ありません。

ジャケット、盤面も含めて、なるべく懲りましょう。(お金をかけろ という意味ではありません。アイデア勝負でOKです)

要は、CDを手に取ったお客さんが最初に「え?これ、無料でもらえるの??」と思わせれたら勝ちです。

盤面もある程度、凝った方が絶対に良いのですが、最低限、バンド名ぐらいは書きましょう。

「この曲、良いやん!気にいった!かっこいい!」となっても、盤面が白のままでジャケットを紛失してしまっていて、そのCD-Rのバンド名が、わからなくなる…という話は意外によく聞くし、自分もよくあります。

安っぽくならないように、ワンアイデアでかっこいい仕上がり、見た目のCD-Rを配りましょう。

無料で配るものだからお金をかけないで作る…という発想もわかるのですが、無料でもらえそうな物を無料でもらっても、人間は感動しません。

無料でもらえなさそうな物を無料でもらえるからビックリして人は感動するんです。

この辺りの考え方は、ライブと一緒かも。

かっこいいの作って、無料CDでお客さんを感動させてあげましょう。

【イカしたやり方 その2 聴かなきゃいけない理由をしっかりと作って伝える】

例えば化粧品の無料サンプル/試供品ってありますよね?

そういう商品って、だいたいの場合、商品の謳い文句があるじゃないですか?「天然素材を使用」みたいなヤツ。

「へー、天然素材なら、一度、使ってみたい」と、それが一度、使ってみたい理由になるわけですよね。

これを応用してみましょう。

無料配布のCDにも、聴きたくなる理由をつけてあげる。

「このCDに収録されている曲(バンド)は○○な曲(バンド)です。」

例えば、誰か友達のワンマンライブの終演後に、ライブハウスの出口で、CDを無料配布するとする。

何も言わずに配るのではなくて、一声かけながら配る。

「今日、ワンマンしていた○○の友達のバンドです。良かったら聴いてみてください。」

この一言で、そのバンドのファンは「あ、このバンドの友達のバンドなら、一回、聴いてみたいかも?」となるかもしれません。

多少は聴いてくれる率が上がるかもしれません。

フライヤーと一緒に配って、そのフライヤーに「○○好きの方ならきっと気にいってくれるバンドです!」まで、配る場所で興味をひけそうなワードをストレートに書いてしまうかのも良いかもしれません。(バンドのキャラ的に問題なければ)

今の時代なら、あらかじめネットで情報をバンバン流しておくのもいいかもしれません。

ちょっとでも、配布する時にお客さんの興味をひいて「このCDは価値のある物だ」というのをわかってもらいましょう。

【イカしたやり方 その3 その無料CDが「次へのチケット」になっている】

最初に「無料CDを配る目的」をはっきりさせようと書きましたが、

「このCDを聴いて、実際に曲/バンドを気に入った人に、次にどういう行動をとって欲しいのか?」

というのを、無料CDのジャケットなり、一緒に渡すフライヤーなりにしっかりお客さんに伝わるように書いておく。

これが意外に出来ていないバンドさん多いです。

一番、単純な事なら「気に入ってくれた方は、twitterのアカウントをフォローしてください!」とかでも良いと思います。

実際に、メールをくれる人は少ないかもですが「曲の感想をメールでください!→ info@○○○.com 」とか。

ライブに来て欲しいのなら「このCDを持ってライブに来てくれたら、チケット代金より¥500円OFF!!※要事前連絡」みたいな一言を表記する。

後に発売するCDを買ってもらうための宣伝目的で配っているのなら、CDの品番や発売日、予約の仕方、ライブ会場限定のリリースなら発売日のライブのインフォなどをしっかり書いておく。

ミナホみたいなライブサーキットでライブに来てもらうのを目的とするのなら、しっかりと「出演日」「出演時間」「出演会場」を明記する
(ただ、ミナホの場合は、全日程が終わってからまとめてもらったCDを聴くというお客さんも多いので、直接、サーキットの動員に結びつかないケースもあったりすると思います。)

その無料CDが、次の何かに繋がる「チケット」にしっかりなっていると、もらったお客さんも嬉しいだろうし、CD自体の 価値も少しは上がると思います。

この部分は、無料配布CDを配って無駄に終わらせないためにも、僕が考えるに一番大事なポイントかもしれません。

お客さんに対して「このCDを気にいったら○○してね!」というのを何も提示せずに無料CDを配っているのは、女の子にただ「好きやねん!」とだけ、告白するようなものというか。

「好きやねん」だけで付き合えちゃう場合ももちろんありますけどね。

「好きやねん」だから「付き合って」

「好きやねん」だから「お友達からはじめましょう」

と「だから」の後を提示してあげないと、告られた人も、返事のしようがないでしょ?

【最後に】

他にも色々と僕が考えるポイントはいっぱいあるのですが、ダラダラと長くなってきたのでこの辺りで…。

あと、無料CDを配るうえでの最低条件として「曲、演奏、音質、録音状態のクオリティが高い」というのは最低条件だと思います。

どうせ無料で配るものだから…と、練習スタジオ一発録りみたいな低音質のデモをお客さんに配ったりするのは、ただのマイナスプロモーションにしかならないと思うので。個人的には論外。

一度、お客さんに「しょぼいバンド」と、悪いイメージがついちゃうと、そのお客さんはもう二度とあなたのバンドの音を聞いてくれません…ぐらいに思っていても良いと思います。

まずは、良い曲を作って、しっかり練習、録音しましょう。

逆に、はじめたてのバンドさんが「まだ正規の音源がないから、自分達のライブで終演後に「練習スタジオ一発録り音源」を無料で配る」のは、ギリギリありだと思います。

この場合は、ライブがバンドの入り口になります。

なので、良いライブさえしておけば、お客さんのバンドへの印象は悪くないはずです。

そんな、バンドがくれた、お土産(無料CD)なので、そこまでもらっても嫌な気分にはならないと思われます。

「ライブが良かった」→「無料CDをもらった、音質は悪いけど今日のライブでやってたあの曲が聴ける、またライブを見に行こう。正規のCDが楽しみ!」みたいになる可能性は、まだ高い気もします。

このblogの記事自体が「ライブを見られていない状態で、無料CD配布からバンドを知ってもらうケース」を前提に書いているので、無料CDでもケースによって役割が変わってくるわけです。

あと個人的には、フルコーラスじゃなくて、一番だけでフェイドアウトするような短いヴァージョンを入れて配るのはあんまり意味ないかな?とも思います。

今時のお客さんの音楽の聞き方を考えると、もらったCDは mp3 になってi-Podとかで聴く人が多いと思うので、フルコーラスのちゃんとしたVerじゃないと、たぶんi-Podに入れてもらえないんじゃないかな?と。

i-Podにさえ忍び込めたら、その時はピンとこなくても、シャッフル再生で後で聴いてもらえたりする可能性も増えるんでね。

この辺り、大事かと。

もっと言えば、事前に配る予定の無料CDを i-tunes で読み込んでおいて、バンド名や曲名まで登録しておいてから配るぐらいした方がいいかもですね。

要は、けっきょく聴いてくれる人の気持ちになって配ろうぜ。ってだけの話なのですが。

まぁ、偉そうな事を書きましたが、自分のバンドでCDを配る時はここまで出来ていませんが(笑)。

特にはじめたてのバンドさんの、何かの参考になりましたら。

あと根本的な話で、無料でCDを配る事の意味ってあるのかな?ってな話もよく聞くのですが、最初に無料でなんとかリスナーの耳に届ける…っていうのは大事だと思います。

例えば、メジャーの人達のプロモーションを考えても、無料CDを配布する事はさすがに少ないかとは思うのですが、テレビやラジオでお金を払わずにリスナーがその曲を耳にする機会というのは必ず最初に設定しているはずなんです。

ラジオで偶然にその曲を聴いて気になった → CDを買う という、流れはあると思うのです。

そういう流れを考えた時に、ラジオやテレビで曲を流してもらったり…という宣伝はできないけど、自分達で気にいってもらえそうな客層に対して無料CDを配布するというのは、間違ったやり方ではないかな?と僕は考えます。

考え方は人それぞれなので、あくまで一意見ですが。

時代の流れを考えても、CDが廃れてきていてデータでの販売やダウンロードが海外では主流になりつつあるようですが、それでもまだ日本では、無料ダウンロードよりも無料配布CDの方が強い…って言うのは、物を大事にする日本人的な国民性なのかな?とも思います。

この辺りの話や僕の考えはまた機会がありましたら。

まあ、これも5年後にはどうなってるかな?とは思いますが。

ではでは。

倉坂

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