前回の記事から続き、ようやく先日、無事に発売されました裏堀江系Vol.01 の記事です。
裏堀江系 Vol.01
大阪knaveコンピCDにヤバイTシャツ屋さん、ナードマグネットら16組 https://t.co/BSqZnX9GsK pic.twitter.com/eSr9rBJPcO
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2016年2月17日
そもそも、なんでこんなコンピCDを作ったかと言いますと。
裏堀江系Vol.01を買っていただけた方なら、オビの裏に書かれていた僕の駄文を読まれた方もいるかとは思うのですが、そこに書いていたとおり。
僕の思い出作りのためです。
いや、本当に申し訳ない。みんなの曲をたくさんの人に聴かせたい!だとか、まだ見ぬバンドを発掘して欲しい!とか、俺たちで1シーン作ってやるぞ!とか、そんな気負った使命感ではなく、ただ、今ある繋がりを今のうちに一つの形にしておきたかったなぁ…と。
そんな僕のわがままを叶えるために、協力してくれたみなさん、楽曲の提供をしてくれたみなさん、そして買ってくれたみなさん、本当にありがとうございました。
“裏堀江系”という言葉の話
記号化されてしまうことの怖さも重々わかっているつもりなのですが、あえて自分で裏堀江系とカテゴライズしてみました。堀江系とストレートに言ってしまうと違和感もあって。
一昔前のcafeブームの頃のイメージで、堀江というワードと音楽が結びつくと、bossaっぽいcafeミュージックを連想する人もいるかな?と思い、裏の文字をつけてみました。
発想としては、これまた一昔前の 裏原系 や、裏なんば あたりから完全にパクってます(笑)。
今までたくさんのコンピCDを作ったのですが、見放題非公式コンピという体で「あそこにない音楽」というのを作ったのがすごく思い出深くて。
見放題主催の一人 Dai-changの率先した悪ノリ協力もあって、あのコンピのタイトルやコンセプトも秀逸だったな…と思ってます。
じゃ、やっぱりDai-changリスペクトでしょ!
Dai-changと言えば、裏なんば でしょ!
ってことで、僕の頭の中で繋がって誕生したワードが 裏堀江系 というワードでした。
そもそも、裏堀江系というワード自体はかなり前から思いついていたので、twitterで僕の事をフォローしてくれてる人なら、イベントタイトルとして見かけていた文字だったかとは思います。
実は裏堀江系という単語を思いついた時点で、コンピCDを作ってタワーレコードで発売したいな…というプランは頭の中では出来ていたので、実に1年近く前から内々に動いていたプロジェクトではありました。
こうして形になったのもみなさんのおかげです。本当にありがとうございます。
勝手に自分で 裏堀江系!とか騒ぎ出して、本当にそれがブームというか…みんなも使うワードになったら面白いな…と、ちょっと悪戯をしかけるみたいな気持ちで使ってる言葉です。
裏堀江系 Vol.01 のライナーノーツにかえて
ライナーノーツみたいなものをCDにつけようかな?とも思ったのですが、紙に残る形で駄文をしたためるのも恥ずかしいな…と今さら思いまして、この場を借りてライナーノーツみたいな物を書いてみようかと思います。興味のある方はご一読を。
01.死にたくなるほど好きだった。 / みるきーうぇい
コンピCDの1曲目で「死にたくなるほど好きだった」の香織ちゃんのツブヤキからはじまるのも面白いかな?と思っての1曲目。”カセットテープとカッターナイフ”という曲が外に向けての みるきーうぇい なら、この曲はさらにディープというか…内省的なとこもある曲だと思うんです。全方位に強い曲じゃなくて、一点集中で強い曲というイメージ。こういう曲からはじまるのも裏堀江っぽいかな?と。
02.忘れもの / ARKS
明日発売のデビューミニアルバムにも収録されている新録の”忘れもの”の先行収録でした。昔の音源と聞き比べてみると、かなりアレンジも変わってて面白いですよ。昔のCDも持ってる人は比べてみてください。本当の意味での第二期ARKSがはじまったのが、この曲からだと思うので、本人達的にも思い入れの深い曲だと思います。そんな曲を提供してくれてありがとう。(ARKSのミニアルバムの話はまた後日に別の記事)
03.ネコ飼いたい / ヤバイTシャツ屋さん
最近のヤバTの勢いは本当にすごいね。はい。完全に便乗しました。ありがとう。そういうのも、わかってただろうに、乗ってくれたヤバTには本当に感謝!!”ネコ飼いたい”…に関しては、何かと使われてる既存音源なのでレア度としては低いけど、この感じでみんなで1枚のCDに収録さてるのが、なんか良いなぁ~と思ってます。改めて聴くと、やっぱりちゃんとかっこいい曲なんだな…という気持ちと、思った以上に細かいとこでふざけまくってるんだなぁ…という普通のリスナー的発見もありました(笑)
04.センチメンタル・ギターラプソティ / The denkibran
自分のバンドの曲です。実は別の曲を収録する予定だったのですが色々と間に合わなかったので既存曲になりました。ヤバイTシャツ屋さんが「ネコ!ネコ!ネコ!」ネコ連呼した後の曲の歌い出しが「地球儀を回してネコが歌ってる」というのも、ネコばっかで面白いかな?と、主催者特権でちょっとここは遊びました。そんな感じの自己満足な遊びもこのCDには何箇所か入ってるので、深読みして楽しんでみてください。
05.男はみんなちょっとだけホモ / 河内REDS
僕らThe denkibranもなのですが、たぶん河内REDSも自分達で「ロックンロール」をやってるつもりは一切ないのに「ロックンロールバンド扱い」される…という共通点がありました(笑 推測ですが)。ロックンロールではないですが、ちょっと”泥臭いバンドつながり”という事で、The denkibranから河内REDSが登場。歌詞のインパクトが強いですけど、面白い曲というよりも、改めて聞きなおすと純粋に”良い曲”なんだなと思いました。コーラスとかけっこう凝ってるよね。
06.どす恋物語~あなたの笑顔にごっつぁんです~ / さしすせそズ
レコードで例えると、ここまでが僕のイメージではA面です。公言してますが、僕はさしすせそズのミディアムテンポのメロウな曲がすごく好きなのですが、改めて聞き返すとアップテンポの”どす恋”もやっぱり良い曲なんだなぁ…とか今さら思いました。今さらですまん(笑)。けっこう言葉以外の部分でのアレンジの遊びなんかもあって、改めて良い曲だな…と本当に今さら思った。MVの出来の面白さもあるけど、やっぱり曲の良さがあったからこの曲で話題になったのかな?とも思いました。ちなみに”どす恋”の入ってるCDは完売らしいので、盤でこの曲を所有できるのは今のところ、もう裏堀江系だけです。
07.ウェンズデイ / ナードマグネット
切り裂くようなギターストロークではじまる、ここからが僕的にはB面のはじまり。Vo須田君のしつこいぐらいの「こんな日にはぁ」のリフレインが耳に残る曲。「こんな日には」の聞こえ方だったり、言葉の持ってる意味が、曲が進むにつれて変わっていくようにも感じるから不思議。元気めな演奏だけど、青臭くて甘酸っぱくて切ない感じはナードマグネット流のパワーポップの解釈なんだと思います。やっぱり好きだなあ…と改めて思いました。教室の隅っこにいた、いつかのさえなかった僕らの魂を成仏させるために、彼は歌い続けるわけですね。
08.oridinary account / craft rhythm temple
こちらも盟友craft rhythm temple。oridinary accountという曲は本当に彼らがかなり初期の頃にやっていた曲で、それをまさかの再録という形で届けてくれました。なので、oridinary accountを聴けるのは、いまのところ、この裏堀江系コンピだけです。みなさん、心して聴いてください。注目して欲しいのは、やっぱり初期の頃から、これだけのクオリティの曲をやっていた…というところでしょうか。ナードもしかりですけど、付き合いが長くなってくると忘れがちなんですが、craftのこの曲を聴いて「あ、俺、そう言えば、このバンドの曲がすごく好きだったんだ!」という当たり前の事を思い出しました(笑)。歌詞のちょっと禅の境地に達したような古迫ワールドも好きです。
09.夢中にならないで / Easycome
Easycomeは今回のCDに入ってるバンドさんの中では一番謎のバンド枠。無名っていう意味じゃなくて単純に外に出てる情報が少ない(笑)。はじめ、別の曲を収録しようか?という話になっていたのですが二転三転。けっきょくこの曲で正解だったかな?と今は思ってます。最近のシティポップブームな流れにも乗れそうな音ですが、シュガーベイブとか古めの匂いもするので、本来の意味でのシティポップの方に近いかな?とか勝手に思ってます。本人達も言ってましたが”延び代しかないバンド”らしいです。不思議な魅力のあるバンド。
10.spot / Pastel Make Noise
Voの谷口君がなんか他人とは思えない不思議な空気感がありまして。曲も好きなんですが、声がとにかくすごく好きです。このspotという曲は彼らの最近の曲なのですが、たぶん谷口君がはじめて外に向けて書いた曲なんじゃないかな?と思ってます。曲を作ってるほうの感覚としては、思ってる事を素直に曲にするのって、最初はけっこう恥ずかしいんですよ。でも、そこの殻を破ってからがね、曲を書く人間的には面白いとこなんでね。はじめましての方には、そんなPastel Make Noiseの決意表明みたいなこの曲をぜひじっくり聴いてほしいです。
11.午前0時 / 桜草
ここまでが僕的にはB面。B面の最後を飾ってくれるのが桜草の”午前0時”という曲。こういう内省的といいますか、みんなで踊れないタイプの曲をやってるバンドにとってはね、最近のロックバンド/ライブハウスシーンは、本当に肩身の狭い場所なんですよ。だからこそね、こういう曲が、こういうキッカケで誰かの耳に触れて、誰かの大切な曲になったらいいな…と思いまして。良い曲です。そして良いバンドです。最近のライブの成長率がすごいバンドなので、気になったあなたはぜひライブへ!
12.リニューアル / クチナシ
ここからC面。「え?レコードってC面あるの!?」って聴かれたら、そんな物はないんですが(笑)。二枚組みのレコードの二枚目の1曲目のイメージです。バンドのキャラとしては、天然素材女子の極上のポップサウンドなわけですが、歌詞からボロボロとコボレ落ちる本音に、近しい人間としてはキュンとします。”持久力勝負”ってのはまさにその通りだと思う。オモチャ箱みたいなポップなバンドサウンドをお召し上がりください。C面の1曲目を飾るに相応しい、アッパーな聴いてて盛り上がる曲。
13.トロピカルナイト / ハウリングアンプリファー
クチナシからのアッパーな流れをさらに加速させる、ハウリングアンプリファーのトロピカルナイトは録りおろし完全新録音源です。なので、今のところはこの裏堀江系でしか聴けない音源になってます。レア音源です。この曲は”チャラい”をキーワードにやっている今のハウリングアンプリファーらしい曲だと思います。エロいじゃなくて、まさにチャラい感じ。かっこいいと思うんだけどなぁ。ポップというよりも、イメージとしてはキャッチーなバンド。キャッチーにまとめるセンスにおいては、けっこう屈指だと思ってます。
14.Taking Girl / First Impression
First Impressionも付き合いの古いバンド。とにかくずっと好きなバンド…って書いてて気づいたんですが、もしかしたら”好きなバンド”って書き方は違うかも。僕にとっては”ずっと好きな曲をやってるバンド”って書き方が正解かもしれない。Voけいこちゃんの言葉のセンスってのは本当にすごいな…と思ってて、本当に大好きなんですけどねぇ。なんか、もうちょっと評価されても良いバンドなのに…と、ずっと思ってるバンドです。”才能の持ち腐れ”と歌うこの曲で彼女達の才能が少しでも多くの人の耳にとまりますように。
15.道中の霧 / マチルダにおねがい
曲順的にはもうちょっと前に収録しようと思ってたのですが、Taking Girlのエンディングのリバース音から、道中の霧に繋がる感じがすごくかっこよかったので、この曲順になりました。”構築してくポップセンス”という意味では、今、僕の周りにいるバンドの中では頭一つ抜けてる印象。良い曲つくるなぁ…といつも思ってます。”何もない 何もないとこからはじめて”と歌うサビのごとく、マチルダにおねがい のリスタートに相応しい曲。楽器の音もすごく良い音を出してるので、その辺りはぜひライブで生で体験して欲しいです。
16.秋風 / 林青空
C面もといこのCDのラストチューン。”オムライスに勝った”とか別の曲だったら、最後の曲ではなかったのですが、お借りできた曲が”秋風”だったので。曲調的に最後を閉めてもらうのが一番しっくりくるかな?と思いまして。最後に秋風が運ぶセンチメンタルでお別れです。僕としては”ロック姉さん”な印象も強い彼女なので、この曲だけで判断されちゃうと…と思うところもあるのですが、彼女の最大の魅力である伸びやかな歌声には少しは触れられるかな?と。色々な表情のあるアーティストなので、ぜひライブで彼女の歌と曲を体験してみて欲しいです。
…と、駆け足で書いてみました。
だんだん文字数が多くなってく感じは、僕の計画性のなさが出てますね(笑)。
“曲順通りに聴いてくれ”とか、”CDで聴いてくれ”とか、そんな、手前勝手な事は申しません。
買ってくれた人の好きなように聴いてください。
改めて、今回、協力してくれたみなさん、お買い上げいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
オムニバスCDやコンピCDについて思う事も書きたかったのですが、かなり長くなってしまったのでそれはまた別の機会に。
縁あって出来上がって、縁あってあなたとめぐり合えた 裏堀江系Vol.01 が、みなさんの大事な1枚になると嬉しいです。